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コーヒーを感じる 〜五感で楽しむ〜

<<はじめに>>

人間には五感といわれるものがある。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つである。
もちろん説明など無用の長物であろう。

コーヒーを飲むときにどの感覚を使うだろうか?
なんといっても味覚と嗅覚は欠かせまい。
はて?その二つ以外は使っていないのだろうか?
自分は5つ全部使っていると思っている。

人間の感覚は嗅覚より味覚のほうが鈍いとされているそうだ。
ということは他の5つにも感度の差があろう。
でもそれをフルに動員してまでもなぜコーヒーを楽しむのか。
人間の奥深き謎のひとつであろう。

<<視覚>>

コーヒーのあの深い褐色は、何か引き込まれる感覚を持つ人もいるだろう。
果たしてなにゆえそういった感覚を持つのだろうか?

我々は食品を眼にしたときその色合いで惹かれることもある。 たとえば生鮮食品であればその色合いから新鮮さを見ようとする。 意識的ではないまでもそういったことを常に行っているのだ。

たとえば中国料理はスパイスなどを利かせて舌で味わう料理だとすると日本料理は素材の味を色というスパイスを利かせて強調する。眼で味わう料理だといえよう。だからこそ赤身の魚に青菜を添えてみたりと盛り付けに凝るのだ。

さて、コーヒー。
あれだけ濃い色をしているのでいまさら着色なんてこともないが、万が一コーヒーがとてもきれいに澄んだ青色をしていたらどうだろうか?
まるでブルーキュラソーのカクテルのような。
青というのは食欲を抑制する効果があるといわれているが、そういうことのまえに「コーヒーらしくない」という意味であまり美味しそうに感じないだろう。

あの自然な深い褐色を生かすために、白いきれいな陶磁器のカップで供される。
白とのコントラストを和食のように眼で楽しみ、味わうのだ。
そして副菜が欲しいあなたは取り合わせの良いと言われているチーズケーキなどいかがだろうか?
器の調和、ケーキの色合いとの調和、雰囲気を楽しむのは絶品。または季節のケーキをチョイスして風情という隠し味をプラスするのも格別である。

またひとつコーヒーの楽しみ方も増えるというものだ。

<<触覚>>

これは味覚に共通する部分もあるのだろう。

まずはきれいな陶磁器のカップの持ち具合などを感じる。
作品として作者の意図を読むのもまたよし。
口に広がるあの暖かいコーヒーを口全体で味わう。
もちろんこのとき味覚もフル稼働していることは言うまでもない。

もちろん体全体の皮膚を使って店主、客を含めた店の雰囲気を感じ取っていただきたい。

「触れる」
この感覚に含まれる要素も計り知れないものだ。

<<聴覚>>

店の片隅ではいつお客さんが来ても美味しいコーヒーを淹れられるよう
ポットが湯気を立てて待っている。
その横で黒くつやのあるコーヒー豆を量り、ミルで挽いていく。
お湯ををゆっくりと注ぎ込むと
ネルの上にはドーム状の泡が立ち、
下からは魅力的な褐色のコーヒーが滴り落ちる。

考えただけでさまざまな音を感じていただけるだろう。
ひとつひとつに耳を澄まし、感じ取るのも楽しいものである。

さらに店内にはいつも店主好みの音楽が流れている。
通常はモーツアルトの曲が流れている。
大きなスピーカーから響く音色と店内の雰囲気、
コーヒーの奏でる音たちとの協奏を感じ取っていただきたい。

<<味覚>>

先にも挙げたとおり嗅覚よりも鈍いらしい。
これは閾値(いきち・感知できる最低の濃度)というもので
あらわされたりしているのだが、難しい話は割愛させていただく。
興味のある方はそのスジの本で調べていただきたい。

コーヒーのあのほろ苦さ、その中にある甘味、味わいの深さなど
いろいろな味覚の表現方法があるのがいい実例だが
「コーヒーの味」という中にさまざまな味が含まれている。

一般に味覚というものは塩辛さ、甘さ、すっぱさ、苦さの
4つの要因で成り立つと言われている。
コーヒーにもこの4つの味わいが含まれているということだろう。

さらに、苦いコーヒーがあったとしよう。
あまりコーヒーの得意でない人にこれをブラックで勧めると
「苦味」しか感じ取ることができないのではなかろうか?
そこに砂糖を少々加えてみよう。
するとそれまでの苦いだけのコーヒーの味が変わり、
甘味はもちろんのこと、苦味以外の味もわかるようになるのだ。
つまり砂糖によりコーヒーの苦味の抑制効果が働くのだ。
ほかでたとえるならばすっぱいレモンを砂糖漬けにすると
すっぱさが弱まるというので理解していただけるだろうか?

これらのように味というのは一面的ではなく
いろいろな要素が混ざり合って成り立っていることがおわかりいただけよう。

ではさらにミルクを加えるとどうなるだろうか?
無限の広がりが産まれるかもしれない。

また、味覚とは舌で感じるものであるわけだが、
舌は部位によって感じる味が異なるといわれている。
甘味は先端、酸味は両端、苦味は舌の根元、
塩味は中央部を除く先端から両端に至るあいだで良く感じる。
また舌先のほうが敏感で、根元に行くにつれ鈍くなるとも言う。
口全体に広げ、触覚と同様、舌全体で感じていただきたい。

さて、あなたはどの味覚がお好みか?

<<嗅覚>>

淹れたてのコーヒーのあのかぐわしい香り。あれにつられてコーヒー屋に吸い込まれることもしばしばである。

それというのはコーヒーの香りというものに「いいにおい」「美味しそうなにおい」というイメージを持っているからである。少なくとも私個人は持っている。
このホームページに来て、こんな奥深いページまで入り込んできたあなたもまずたいていコーヒーの香りに対してはいいイメージを持っているだろう。

しかしコーヒーのにおいが嫌いだ…という人も中にはいる。あまりに身近なところにそういう人がいるので私自身コーヒーを飲むのに困ることもある。なぜこのようなことがおきるのだろうか?

においというものをもうちょっと広く捕らえてみると、我々が普通に歩いていたとしてあるにおいがしてきたときどう思うか。腐敗臭、物の燃えるにおいなどは人はもちろん動物でも危険を知らせる信号と取り、まず嫌うにおいである。
家庭で使うガスは本来無臭だが危ないという知らせとなるよう付香されているのだ。我々があのガスのにおいをかいだとき、臭いと思い、危ないと感じ次の対策をとるのはガス臭さは危ないことだと学習した結果からだといえよう。

一方新鮮なかんきつ類の香りや花の香りを嫌がる人はまれではなかろうか?
良い香りのたとえはたくさんあるので皆さんでご想像いただきたいが、現状で私自身はコーヒーの香りも良い香りに入っているのである。

また微妙なものもある。
納豆の香り。これは美味しそうなにおいだと感じる人もいれば腐ってて不味そうと思う人もいる。育った環境や地域性などにも左右され、これに当てはまるのはくさやなどもそうだろう。
また国が違いを考えるならば、ドリアンをうまそうなにおいだと思っている人たちがいるのも我々にはやや理解しがたいところがある。

その人のそれまでの食習慣や食経験からあるにおいに対する良し悪しを判断を下すようだ。

またまるっきり同じにおいを感じてもその人の体調により大きく左右されることがある。
コーヒーのにおいはふだん美味しそうだと感じている人が胃もたれなどの体調不良の状態にいたとしていつもどおり美味しそうだと感じることができるだろうか?
まずいつもと同じには感じることができないはずである。体調のほかに、年齢、性別などさまざまな要因に左右されると言われている。

コーヒーに対してあまり先入観のない人に美味しいコーヒーを好んでもらいたい場合 相手の体調からケアしてあげると成功の可能性は高まるだろう。(笑)
しかし一度嫌ってしまった人を変えるのはなかなか難しいことではある。
というわけでコーヒーのにおいが不味そうだと思う人を否定するわけにもいかず家でコーヒーを飲むときは私は十分に換気をして沸かさねばならない現状に変わりはないのだ。

また、食べ物の味と香りは相互に影響し合っていることは前にも挙げた。
これを定量的に測定した例はまだあまりないのだが最近になり味の強度感覚に香りが影響しうることが報告された。
ただの砂糖水より、甘いイメージのにおい、たとえばイチゴのにおいをつけた砂糖水のほうがより甘いと感じる。ただのすっぱい水より、すっぱいイメージのにおい、たとえばレモンのにおいをつけたすっぱい水のほうがよりすっぱいと感じる。ほかにはお茶の香りがお茶の渋みの強度に影響するとも報告された。これもまたにおいの学習効果による心理的影響のほうが強いのではないだろうか。

癖になる。これはコーヒーや煙草などが当てはまるのだろうか。どうしてもやめられない、つい手を出してしまうそういう感覚がある。これを香りの部分だけで切り取ってみるとこのようなことが言える。

においは精神心理に影響する。さらにからだの機能に影響することもある。アロマテラピーが近年ブームだがまさにこれがそのものずばりである。リラックスを生む香り、活動的になる香りなどがある。

コーヒーの香りはあなたにとってどのような香りか?
私個人はコーヒーの香りはリラックスを生んでくれると考えている。活力がわくという人もいれば、集中できるという人もいるだろう。とりたてて何か思うわけではなく美味しいにおいだというのだけの人もいるだろう。

どれにせよその香りを嗅ぐことでこころが『快』の方向へ向くから、もっと香りを嗅ぎたいと思う。これを繰り返していくともっと強い匂いへ…と進んでいく。
やがてないと足りない、いらだつなどと感じるようになっていくというのはそんなに難しく考えなくても理解いただけるのではなかろうか。

<<第六感。(おまけ)>>

物事の本質を直観的に感じとる心の働き。勘やインスピレーションのようなもの (大辞林第二版より。)

これはがんばって働かせて見てはいかがか?(笑)
私も試したことはないのでわからないが、よいコーヒー屋を見つけるのに使えるかもしれない。
トロワアンジュはどうかな?ぜひ第六感を働かせてご判断いただきたい。

<<最後に>>

これら五感を意識的にフル稼働させてコーヒーを飲んでみると
私の思ったこと以上にさまざまなことを皆さんが感じることができるだろう。

一杯のコーヒー、突き詰めるとなかなか深いものだ。

<参考文献>
友田 五郎  / 『序説 珈琲学』 / 光琳
食品技術研究会セミナー講演集 / 『食品の色・味・匂』 / 三I書房
川崎 通昭 / 『においの特性−においの感じ方と嗅覚の特性−』 / 果汁協会報  1月号 No.509(2001)
日本熱帯農業学会 / 『熱帯農業 第七版』 / 共立印刷


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